新潟から世界へ|ギリシャとの国際文化交流と「テロワール」を軸とした津南醸造による地方創生の挑戦

食用米コシヒカリのプレミアムテーブルライス日本酒の造りも体験

津南醸造株式会社(本社:新潟県中魚沼郡津南町、代表取締役:鈴木健吾、以下「津南醸造」)は、2025年1月下旬、酒ソムリエ協会(Sake Sommelier Association)を通じて選抜されたギリシャからの研修生2名を受け入れ、日本酒造りを通じた文化交流を実施しました。

本研修は、酒ソムリエ協会が推進する「日本酒の文化的価値を正しく世界に伝える人材育成」という国際的な教育方針の一環として実施されたもので、日本酒の製造技術そのものに加え、雪国・津南の自然環境、地域文化、発酵に根ざした日本の食文化を実体験として理解してもらうことを目的として実施しました。研修生は、仕込み作業から蒸米、櫂入れといった酒造りの中核工程に加え、地域住民との交流にも参加し、約1週間にわたる実地研修を行いました。

酒ソムリエ協会(Sake Sommelier Association)は、ロンドンを拠点に世界各国で日本酒教育・資格認定を行う国際機関であり、日本酒を文化・歴史・食との関係性を含めて体系的に伝える専門人材の育成を目的としています。

日本酒は「飲み物」ではなく「文化そのもの」

研修に参加したのは、ギリシャでレストラン事業やワイン・日本酒の流通に関わるジョージ・カラブズキス氏(36)コスマス・ヤヌリス氏(35)の2名です。

カラブズキス氏は、研修を通じて次のように語りました。

「日本酒は単なるアルコール飲料ではなく、土地の気候、水、米、人の営みがすべて重なって生まれる“文化”だと実感しました。
実際に仕込みに入り、櫂を入れ、蔵人の声を聞くことで、教科書や知識だけでは理解できない価値が見えてきました。」

また、コスマス・ヤスリス氏は、日本酒の評価軸そのものへの気づきを次のように述べました。

「これまで日本酒は、ギリシャでは体系だって知られておらず、日本酒の酒質に対しての理解がなされないなかで、流通していることが多いと感じていました。
今回体験したことを通じて、日本酒の可能性をギリシャのお客様やお客様に接するスタッフに的確に伝えたい。」

津南という土地が生む酒造りの必然性

津南町は、日本有数の豪雪地帯です。冬に3メートルを超える雪がもたらす低温環境と、苗場山系の雪解け水は、日本酒造りにおいて理想的な条件を生み出します。

今回の研修では、こうした自然条件が酒質にどのような影響を与えるのかを、座学ではなく身体感覚として理解してもらうことを重視しました。
蒸気に包まれながらの蒸米作業、声を掛け合いながら行う櫂入れ、発酵槽の温度管理――その一つ一つが、津南の風土と不可分であることを体験してもらいました。

「母国で魅力を発信したい」──研修のその先へ

研修最終日には、地元小学校との交流や、酒蔵の方々との食事の場も設けられました。
酒造りだけでなく、「日本酒が地域の中でどのように存在しているのか」を理解してもらうことが、今回の研修の大きな柱でした。

ヤヌリス氏は、次のように今後の展望を語っています。

「日本酒の素晴らしさは、味だけでは伝わりません。
人、土地、時間の物語と一緒に伝えてこそ、本当の価値が伝わる。
津南での経験を、ギリシャでの仕事に必ず生かしたい。」

上郷小学校での全校生徒との対話:文化の「違い」が拓く未来

1月30日の金曜日午前、津南町立上郷小学校にて行われた交流会では、ギリシャと日本の文化の違いをテーマにしたセッションが行われました。

全校生徒との挨拶に続き、活発な質疑応答が行われました。児童たちからは、ギリシャの歴史や気候、食文化に関する質問が次々と飛び出し、カラブズキス氏ヤヌリス氏の両名からは、地中海の陽光と津南の深い雪という対照的な環境が生む「食の豊かさ」についての回答がありました。

代表取締役の鈴木健吾は、「子供たちが世界の多様性に触れ、同時に自分たちの故郷・津南が世界からどう見られているかを知ることは、未来のクリエイティビティを養う。科学教育の根底にあるのも、こうした好奇心だ」と、教育的意義を語りました。

津南町役場への表敬訪問:副町長と語る「テロワール」の戦略的活用

午後には津南町役場を訪問し、副町長と対談いたしました。

会談では、津南の圧倒的な積雪量と清冽な湧水がもたらす「テロワール(土地の個性)」に関する深い議論がなされました。。副町長からは、伝統を守りながら新しい日本酒造りにチャレンジしつつ、津南醸造のグローバル展開に積極的な取り組みに対し、大きな期待が寄せられました。

「GO GLANDCLASS」が拓く、ギリシャでの「テーブルライス日本酒」の可能性

今回の研修を受け入れた際の大きな成果の一つとして、ギリシャのゲストに津南醸造のフラッグシップ「GO GRANDCLASS」の造りと試飲を通じて、その本質を理解してもらう体験を提供することができました。

代表の鈴木は、「ゲストに、津南醸造が取り組むブランド米魚沼産コシヒカリを用いて生産する『テーブルライス日本酒』のGO GRANDCLASSの可能性を深く理解していただいた。ギリシャへ帰国後は、日本酒を単なるアルコール飲料としてではなく、ワインのように食事と共に楽しむ食用米日本酒の可能性を、欧州全域に広めてほしい」と、今後のアンバサダーとしての役割を託しました。
https://koshihikari.tsunan-sake.com/

津南醸造の考えるグローバル展開とは

津南醸造では、日本酒の海外展開を「輸出量の拡大」だけでなく、新しいと捉えています。
実際に蔵に入り、地域に滞在し、手を動かした体験を持つ人材こそが、日本酒の本質を正しく海外に伝える存在になると考えています。

今後も津南醸造は、国内外の志あるパートナーとともに、新しい日本酒の開発と新しい日本酒を通じた持続的な文化交流と価値創造に取り組んでまいります。

津南醸造について

津南醸造株式会社は、新潟県中魚沼郡津南町に本社を構える日本酒を生産する酒蔵で日本有数の豪雪地帯に位置し、標高2,000m級の山々から湧き出る天然水を仕込み水として活用しています。「Brew for Future〜共生する未来を醸造する〜」をブランドコンセプトに、地元産の酒米「五百万石」や「魚沼産コシヒカリ」を用いた酒造りを行っています。2025年には、醸造技術を競う「越後流酒造技術選手権大会」で、新潟県知事賞(第1位)を受賞しました。

津南醸造のWebページ: https://tsunan-sake.com/